日本を代表する河川として知られる筑後川が近くに流れる福岡県の久留米市。
久留米といえばゴム産業や、久留米絣と呼ばれる織物などの産地として有名です。
その中心地に大きな工場を構えているのが、株式会社ムーンスターです。
ムーンスターは、今年でなんと創業150周年。それを記念して、久留米工場で新作の展示会と、工場内を見学させていただけるということで足を運んできました。
ムーンスターの靴づくりを代表する製法が、生ゴムに硫黄を加え、熱反応によりソールとアッパーを接着させるヴァルカナイズ製法と呼ばれるもの。
この製法は、とても手間がかかることもあり、国内で採用している靴メーカーもわずかとなっているそうです。
ムーンスターの歴史は、1873年(明治6年)に倉田雲平氏が久留米市米屋町で始めた「つちやたび店」から始まりました。
創業当時は、まだ日本に靴がない時代で、足袋(たび)を仕立てていましたが、1894年にドイツ製のミシンを採用したことにより、家内工業から工場生産へと拡大していきました。
大正時代に入ると、アメリカ製のキャンバスシューズからヒントを得て、底にゴムをひいた「地下足袋」を開発して、その後スニーカーなどの開発を始めて、日本を代表するシューズメーカーへと成長していきます。
1928年には、世界中どこでも通用するマークとして“月と星(ムーンスター)”印を使用。
つちやたび株式会社
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日華護謨工業株式会社
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日華ゴム株式会社
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月星ゴム株式会社
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月星化成株式会社を経て、現在の株式会社ムーンスターが社名となりました。
色々とお話をうかがう中で驚きだったのが、ムーンスターでは生地の裁断や縫製に携わる職人だけでなく、靴作りに欠かせない靴型、工具や機械にいたるまで、あらゆるものを社内で作っているということ。
外注することなく、自社で完結させることができればよりスピーディーで、コストも抑えられるので、これは強みだなと思いました。
今回は、靴に使うゴムや生地の加工から靴型作り、靴本体の製造現場を見学させてもらいました。
工場内はこの帽子を被流のがルールです。製品化して欲しいくらいかわいかったです。
まずはゴムに様々な原料を混ぜて、用途に合わせた加工をおこないます。
ゴムのかたまりを練って、大きなローラーで熱を加えながらシート状に伸ばしていきます。
均一な厚みに出来上がったシート状のゴムを機械で裁断して靴底のパーツを作る。
ミシンで縫った生地のパーツと靴底を組み合わせる「吊り込み」という作業。
パーツを順番に手際よく組み立てていきます。
全てのパーツが組み立て終わったら、最後にこの大きな窯の中に入れて「加硫=バルカナイズ」を行い、ゴムを接着させて完成になります。
そんなムーンスターへの理解をより深めるために、小さなサイズの作りを体験させてもらいました。
一つ一つの工程を細かく丁寧に教えていただきながら、なんとか完成。
最後は、加硫をして仕上げてから完成品を送ってもらえるそうなので、今から楽しみです。(現在は、一般の方に向けた工場見学や靴作り体験は行っていないそうです。)
ムーンスターでは現在、約500人以上の人たちが働いており、久留米市を支える産業の一つとなっています。
長い年月が経った今も変わらず、いつも心地よい靴作りを目指すことで、私たちの足を支えてくれていると思うとグッとくるものがありました。
ムーンスター関係者の方々、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。